映画「デルス・ウザーラ」

NHKラジオ第2を聴いていたら、黒澤明が監督したソ連・日本合作映画「デルス・ウザーラ」(1975年)について語っていた。この映画を通してロシアでは、いまも黒澤は非常に尊敬されているのだという。随分前に夫はテレビで観ていて、私は観ていなかったので早速STUTAYAで借り、約140分、45年も前の映画を観た。いい映画だった!

漠然とした不安を抱く文明人と万物に畏怖を抱く猟師、この抱くものの違いに改めて気づかされる。

 

この映画は、実話としての原作があり、タイトルも同名の「デルス・ウザーラ」。ロシアの探検家ウラディミール・アルセーエフが政府の命を受け、地図製作として当時全くの空白地帯であったシベリアの地へ探検隊を率いて赴く。その探検記録を基に、ガイドとして同行することになる先住民族ゴリド人猟師デルス・ウザーラとの交流が描かれる。

 

映画はシベリアの広大な自然を背景に、その厳しさ、美しさを映し出していく。隊長アルセーエフは困難な探検を続け、自然の猛威に何度もデルス・ウザーラから助けられる。デルスは万物を自分と同じ人間としてとらえる、「太陽は一番偉い人、この人が死ぬとみんな死ぬ、月は2番目に偉い人、火・水・風は3番目に強い人、この人は怒ると怖い」彼の言葉はシンプルでありながら、響いてくる。デルスには家族はいない。妻、子供は天然痘で亡くし、住んでいた家もその為に自ら燃やした悲しい過去が語られる。森の中ではそこに生きる動物も植物も人間もそれぞれが暗黙のルールを保ち暮らしている。それは隊長のアルセーエフや探検隊の隊員に何か云い得ぬ信頼と親しみを与えていく。幾年か過ぎ、アルセーエフにとってデルスは親友以上の存在になっていく。視力が衰え次第に猟師として生きられなくなっていくデルス、隊長はハバロフスクの自分の家で一緒に暮らそうと提案し、デルスも従う。しかし、暖かい暖炉の前で、デルスは考え続ける。ここにいては何もすることが無い。そして、ラストの悲劇。

 

長い映画でありながら見ごたえのある時間だった。文明人と野生の人間との対比や環境問題以上に、何と云っても隊長とデルスの深い友情に観終わったいまもジーンとなってくる、そして、人間にとってやることが無くなることが如何に哀しいことか、、、ずっと考えている。

 

 

 

 

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