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台風で想う

台風19号が去った日の新聞に、川野里子さん(歌人)の言葉が紹介されていた。

・・・台風が去った朝、これが本当に水と空気の仕業かと、驚く(中略)個体、液体、気体という物質の三態によって人間の歴史を眺める時、近代以降はいかにも個体優勢の時代であった。鉄道という鉄によって全国を繋ぎ、国土という土地を拡大し守るために戦い、コンクリートであらゆる場所を固めた。しかし、振り返ってみると、近代以前は海や川を使った水上交通が主要であり、天気予報が無いから空模様をよく読んだ。つまり液体と気体のゆらめきと不安定さに寄り添いながら生きていたのだ。個体優勢の世界は液体や気体の氾濫に弱い。私たちは個体を中心にする思考に慣れ過ぎ、液体を気体を扱いかねているのだ。あるいは人間のこころにとっても個体優位の世界は硬すぎて辛くなっているのかもしれない。

・・・逃げることがほとんど生きることなりき落ちて形のきれいな椿・・・山下翔(20代の歌人)

液体のように流れ、あるいは気体のように気化して「逃げる」。そのようにして守ることは一つの生き方だ。苦しい現実を背負う若者の一人として山下が見ているのは、個体と個体のすき間であり、そこをどのように変態して生き抜くかという切実な問いなのだ。美しい形を保つ椿が目に痛い。台風はまたやって来る。水と空気からの激しい詰問のようだ。

 

この記事を読んで、強靭な台風に立ち向かう術と不安な今の時代に立ち向かう術は、どこかで繋がっているのかも知れないと想えてきた。

 

 

 

 

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